【教室の運営】企業出資の日本語教室、いよいよ開講!

2022年10月7日、福岡県直方市が、2年間の制度設計を経て、企業出資に基づいた教室を2クラス開講します。目標は、生活に必要な日本語の学習を軸として3年間でN3程度のコミュニケ―ション能力を育成することです。【深江新太郎】

教室運営を可能にした、協議会の設置

直方市が、企業出資に基づいた教室運営を可能にできたのは、直方市・技能実習生等外国人支援協議会(以下、直方市協議会)の設置によります。直方市協議会の詳細は、下記よりご覧いただけます。

直方市HP

直方市協議会の設置の背景は、次です。

我が国では、外国人技能実習生をはじめとした外国人居住者人口が増加する中、来日する外国人技能実習生の地域定着、及び地域住民との共生にあたり、社会課題が浮き彫りとなってきており、地域一体となった支援の仕組みづくりが急務となっているところです。そこで、この度、直方市域におけるこのような諸課題に対応していくため、「直方市技能実習生等外国人支援協議会」を設立しました。

直方市HPより

また、直方市協議会の目的は、次です。

直方市内に事業所等を置く企業等に勤務し、日本語を母語としない技能実習生、特定技能在留資格者等(以下「技能実習生等」という。)の地域居住支援に関する活動を行うこと。

直方市HPより

このような背景、目的のもと、企業出資に基づいた教室も運営されることとなります。

企業との打ち合わせを通し設定した教室のプログラム

10月7日に開講する教室は、地域居住支援の一環として行われ、直方市協議会の会員である企業が雇用する技能実習生を参加させることができるものです。授業は、毎週金曜日19時30分~21時に行われます。授業を行う者は、日本語教師です。この取り組みは、福岡県の日本語教育環境整備事業(文化庁補助事業)であり、私(深江)は、福岡県のアドバイザー、コーディネーターとして全般に携わっています。カリキュラム作成においては、まず目標を直方市協議会の設立に中心的に携わった企業数社との打ち合わせを通して決めました。企業からの共通のリクエストとして、基本的なコミュニケーション能力を伸ばすこと、N3程度の日本語能力をつけること、が出ました。地域の教室という特性を軸に企業からのリクエストを反映した結果、生活に必要な日本語の学習を軸として3年間でN3程度のコミュニケ―ション能力を育成するという目標ができました。

次に、3年間のカリキュラムを考えるために、1年を6か月ごとに分け計6タームつくりました。そして、それぞれのタームごとに、学習内容をつくりました。

①6か月②6か月③6か月④6か月⑤6か月⑥6か月
地域になじむN5~N4レベルN5~N4レベルN4~N3レベルN3レベルN3レベル
生活に必要な日本語の学習

10月7日に開講した教室は、①6か月のクラスです。教材は、それぞれの生活に必要な日本語を学び、地域になじんでいく日本語が学べるという観点から、『生活者としての外国人向け 私らしく暮らすための日本語ワークブック』が採用されました。


執筆 / 深江新太郎

「在住外国人が自分らしく暮らせるような小さな支援を行う」をミッションとしたNPO多文化共生プロジェクト代表。福岡県と福岡市が取り組む地域日本語教育体制整備事業(文化庁補助事業)のアドバイザー、コーディネータ―。文化庁委嘱・地域日本語教育アドバイザーなど。著書に『生活者としての外国人向け 私らしく暮らすための日本語ワークブック』(アルク)がある。

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